課題の多い勝利

派手な選手は観ていて気持ちが良い。

細谷が1軍にあがってきていきなり結果を残す。

ど派手な逆転スリーランは、細谷ならでは。

ロッテらしくない派手さを持っている貴重な選手だ。

その派手な活躍の陰に隠れながらも、

4番で2回出塁した福浦もさすがの一言。

コントロールの良い山岡の何を狂わせるのか、

福浦に対してはどうにも投げ辛そうにしていた。

これが【圧倒的威圧感】か。

この呼び込む雰囲気は井口も持っており、

ベテラン2人の存在感が最近光っている。

しかしながら昨日は課題も多く見つかったと思う。

ひとつは円陣。

前任の打撃コーチが円陣を組むと、早打ちを助長させ

「高速3凡」という言葉が生まれる程、早いカウント

からバットを振り回すようになった。

現在の打撃コーチはどうなるか。

昨日は3回に円陣が組まれていた。

それまでの攻撃は繋がらないまでも、新人の山岡に

球数を多く投げさせ、徐々にプレッシャーを与えて

いる印象を受けていた。

そして円陣後。

恐らく「ストレートに絞っていけ」という指示だろうが、

ポップフライを量産するようになり、山岡の投球に

リズムが生まれてしまうきっかけとなった。

せっかく良い攻めが出来ていたのに、

2回で40球投げていた投手が生き返ってしまったようだ。

もちろん球種傾向やリードの傾向はベンチがより詳しい

だろうが、スピンのかかった山岡のストレートはなかなか

とらえる事が出来ない。

ようやく6回からストレートの球威が無くなってきて、

7回の細谷の逆転ホームランに繋がるのだが、

恐らく2回までの粘り強い攻撃が山岡の疲労感を

生み出したのだろうと思う。

円陣からの徹底したチーム攻撃が悪いとは言わない。

それを愚直に守ろうとして凡打の山を築く選手たちは、

もう少し何かを考えてほしいと思った。

課題のもう一つは平沢だ。

9回のファインプレーには心を奪われた。

しかし打席での自信の無さが、画面を通じて伝わってきて

しまっている。

好球必打は良い打者の鉄則だろうが、平沢はどうにも

上手くいかない。追い込まれてジ・エンドという事が多い。

昨日も田村がランナーにいるシーンで、フルカウントから

高めの明らかなボール球に手が出て、三振ゲッツーと

なってしまった。

スピンの利いたストレートだが、あのゾーンを振るのは

余裕がない。それまでの球で、平沢ならば仕留められる球が

あったはずだ。

確かに高卒2年目でこのポジションを掴んでいるのは凄いと

思う。しかし、もうそろそろその優遇したい年齢面を

ファンとしては解除したい。

プロの選手として魅了してくれるバッティングを期待したい。

まずは福浦に見習って、打席の雰囲気づくりからだ。

そして最後に課題として見えたのが、伊志嶺の肩だ。

俊足好打の外野手として、栄光のドラフト1で獲得し、

新人年の活躍から年々その仕事量が減ってきている選手。

脂ののっても良い年代に差し掛かって、前日には猛打賞と

昨年には無かったお立ち台を経験した。

しかし気になるのはその肩。

恐らく爆弾を抱えているのだろう事は容易に想像がつく。

そして最近思うのが、それが他チームにばれてしまっている

という事。

いつだったか伊志嶺がセンターを守っていた時に、

ランナー1塁の場面でセンター前ヒット、

1塁ランナー(駿太?)はそれほど良いスタートでは無かったが、

楽々と3塁まで進塁した。

その場面、伊志嶺はショートへふわりとした送球。

隙を見せたらつけ込まれるプロの世界で、この肩は苦しい。

ようやく出てきたトップバッターだが、晩年の金本のように

思いっきり投げる事が出来なくなっている。

9回、益田劇場が開幕し、途中でDHをはずしてまで

伊志嶺を変えたあたり、この状態はチームの了解があるようだ。

かといって、肩に負担がかからないポジションは

1塁手くらいだからまたしても1塁手が飽和してしまう。

これから出番が増えるであろう伊志嶺、何とかならないものか。

両外国人がベンチを温めながらも勝利した昨日の試合。

もっと高みを目指すべく、課題にしっかりと取り組んでほしい。